小樽のホテル

ゴールデンウィーク前に北海道へ旅行に行ったときの出来ごと。

小樽の街中にあるヨーロッパ風のとあるホテル。部屋からの眺めも良く遠くに海も見える角部屋。

夕食は外で食べたかったのでフロントにルームキーを預ける。雨が降りそうなのでどうぞお持ちくださいと傘を渡される。そのとき思い出したとある方のロンドンのホテルでの話。外は☔️が降っているので傘を貸してくださいとホテルマンに言うと「あなたに貸す傘はない。しかしコートならあるから持っていけ」と手渡されたゴム引きコート。なんとも粋な計らいをするロンドンの小さなホテルでの話。

結局その夜小樽の街で傘を使うことは無かったけどホテルに帰りフロントマンに「おかげさまで助かりました。ありがとうございます。」と言って傘を返す。雨が降らなかったのは結果であって傘があることで安心して食事ができ、夜の小樽運河などを観光できたことに対しての感謝。

些細なことでも感謝を忘れず観光し、旨いものを食べればより一層の楽しい旅の思い出になる。ホテルマンに渡された傘のお話。

休日のシャツ

クローゼットに柄物のシャツがハンガーに吊るされている。暖色系、寒色系とも花柄が多い。理由は単純でジャケットの内側から花柄のシャツが少し見えるだけでなんとなくお洒落に見えると思っているからである。要は自己満足であったりズボラなだけだったりと安直な考えから花柄が多くなっただけのことである。そんなこともあり休日用のシャツも無地も揃えろうとデパートへ。

さすがデパートだけあり品物も店員さんの説明も申し分ないけれど値段との折り合いが合わず断念。そのまま電車に乗って横浜のとある紳士服店のドアを開ける。ずらりと並ぶカジュアルシャツやセーター類。その奥に白のドレスシャツが木製のラックに置かれている。しばらく眺めていると店員さんがシャツの説明をしてくれる。シンプルなシャツも良いけど今日は休日用のシャツを買う目的なので白のオックスフォードBDに決める。サイズはわかっていたので店員さんに「こちらにしますと」ひと言。すると「ご試着されてはいかがですか?」と店員さん。アウターの試着ならともかくインナーの試着を勧められたのは初めて。お言葉に甘えてシャツの試着をし店員さんにサイズチェック。ジャストサイズなので購入決定。平日の空いている時間帯だったらしく客は冴えないオヤジただひとり。こちらが他にも興味を示すと店員さんはお店の歴史やジャケット、ネクタイの説明などたくさん話してくれる。なんの知識もない小生はただ頷くだけ。これ以上お店にいると財布の中身より物欲の方が勝ってしまうのでお礼を言って退散。お店を出ると商店街は黄金色の灯りに照らされている。お店のロゴ入りの紙袋を持って駅まで歩く。このまま帰るのは勿体無いので少し寄り道していくかと自問自答。

 そんなこんなで休日に着る白シャツが新たにラインナップ。首元が寂しいのでクラバットを巻けばそこそこ春を楽しめるだろうか。今日は得した気分を味わえる一日であった。春待ち遠しい。

ベージュのコート

クローゼットからコートを取り出す季節になってきた。三種類のモデルと三色のコートで五着がハンガーで吊るされている。用途に応じて羽織るのだかベージュのトレンチコートに退廃の香りがして心を揺さぶる。少しくたびれたトレンチの襟を立たせて無造作にベルトを締める。似合うかどうかは別としても粋な着こなしと感じる歳になって数年が経つ。二十歳を過ぎた頃にスクリーンで観た今のわたしを作った主役のコート。